映画『二百三高地』(1981年公開)感想とあらすじ
映画の概要
1981年に公開された映画『二百三高地』は、日露戦争における最大の激戦地「二百三高地」の攻防戦を描いた戦争映画です。監督は舛田利雄、脚本は笠原和夫。日本の戦争映画の金字塔とも言える作品で、壮大なスケールと緻密な人物描写が高く評価されています。
当時の大作らしく、オールスターキャストで構成され、音楽は山本直純、ナレーションは芥川比呂志が担当。戦場の泥臭さと人間ドラマ、そして命の重さがひしひしと伝わる作品です。
主な出演者
- 仲代達矢 … 乃木希典
- あおい輝彦 … 小賀武志(架空の青年将校)
- 神山繁 … 山縣有朋
- 丹波哲郎 … 児玉源太郎
- 三船敏郎 … 山県有朋
- 森繁久彌 … 伊藤博文
- 天知茂 … 金子堅太郎
- 三船敏郎 … 明治天皇
主演陣の演技力が物語に深みを与え、特に仲代達矢演じる乃木大将の内面描写は見る者の心を打ちます。
・夏目雅子も出演しています。
あらすじ
物語の舞台は1904年、日露戦争中の旅順要塞。その中でもロシア軍が要塞防衛の要として築いた「二百三高地」の奪取が日本軍の最重要目標となる。
乃木希典率いる第三軍は、繰り返し総攻撃を仕掛けるが、ロシアの近代要塞を前に多くの兵士が命を落としていく。現場の将校や兵士たちは、上層部の無謀とも言える命令に苦悩しつつも、命を賭して突撃を繰り返す。
乃木将軍は戦況の泥沼化に苦悩しながらも、国家の命運を背負い、最終的には自らの息子たちを戦場に送り出す決断を下す。
死闘の末、ついに日本軍は二百三高地を占領するが、それは膨大な犠牲と引き換えであった。
感想・レビュー
『二百三高地』は単なる戦争映画ではありません。
「なぜ人は命令に従って戦うのか?」、「国家と個人の命、どちらが重いのか?」という普遍的なテーマが全編に渡って問いかけられます。
戦闘シーンは非常にリアルで、泥や血にまみれた戦場描写は、観る者の心をざらつかせます。
一方で、兵士たちの友情や愛情、そして上官の苦悩も丁寧に描かれており、戦争の非情さと人間の尊厳が浮き彫りになります。
特に印象的なのは、乃木希典の精神的葛藤。自らの子を戦場に送り出し、最終的には戦後に殉死するという史実が、映画のラストに重くのしかかります。
まとめ
映画『二百三高地』は、壮絶な戦闘と濃密な人間ドラマを通して、「戦争とは何か」を深く考えさせられる作品です。単なる歴史の再現にとどまらず、現代の我々にも通じる問いを投げかけています。
歴史に興味のある方、戦争映画をじっくり味わいたい方には、ぜひ一度観ていただきたい名作です。
基本情報
- タイトル:二百三高地(にひゃくさんこうち)
- 公開年:1981年
- 監督:舛田利雄
- 脚本:笠原和夫
- 音楽:山本直純
- 上映時間:185分
- 配給:東映